行動半径が広くなる幼児期は、事故の種類が多彩になります。
家の中だけでなく公園など戸外での事故にも注意が必要です。
屋内、屋外で起こりやすい事故と予防策を知っておきましょう。
幼児期の事故の傾向
事故にあう年齢は1歳児がトップ
乳児期と違うのは、ひとり歩きができるようになること! 家の中でも行動半径は階段、台所、浴室、洗面所、ベランダなどグンと広くなります。好奇心も発達してすべてが興味の対象になります。台所でキラリ光っている包丁を手にとったり、水の音に惹かれて浴室の湯船の中をのぞきこんだ拍子に転落したり……。
残念なことに1~4歳児の死亡原因のトップは不慮の事故です(厚生労働省/人口動態調査)。そして事故にあう年齢は1歳児がトップ!十分に注意しましょう。
誤飲事故に注意しましょう
東京都の調査によると、1~4歳児の場合、転倒に次ぐ2位が「異物誤飲」です。指先の運動が器用になると、これまで開けられなかったキャップも開けられるようになります。誤飲すると中毒につながる洗剤類やアルコールなどは、必ず子どもの手の届かないところに始末しましょう。
口に箸や歯ブラシをくわえたまま、転んで怪我する事故も増えてきます。「箸を持つのは食事のとき」など、毎日の生活の中での「しつけ」が、事故の予防になることも覚えておいてください。
転倒や高所からの転落事故が増えます
子どもの事故は運動能力の発達と深い関係があります。たとえば、子どもがベランダに出た場合、1歳児なら柵の間から外をながめるだけでも、2歳になったら小さな椅子を部屋から持ち出し、台にして柵から体を乗り出すこともできるようになります。
1~4歳児の場合、誤飲とともに転倒と転落が上位3位を占めています。年齢とともに運動が活発になると、高いところからの転落事故が多くなります。くれぐれも注意しましょう。
大きい怪我につながる事故に注意しましょう
活発に動く子どもがけがをすることはよくあること!小さなすり傷やたんこぶを作りながら、子どもは育っていきます。
ただし、大きな怪我や命に関わるような大事故だけは、絶対に防いであげたいのです。とくに、交通事故は大きな怪我に結びつくので要注意!
年齢が高くなると交通事故が増えてきます。ママに知ってほしいのが、子どもには言葉の注意は通用しないということ!「右見て、左見て」と言葉かけしても、ママが手を離していれば、道路に飛び出すのが子どもです!必ずママが手をつなぐなど、体を使って防ぐことが大切です。
シーン別
起こりやすい事故と予防策
屋内
場所 | 起こりやすい事故 |
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居間 |
跳んだり跳ねたり、体を使った遊びが面白くてたまらないのが幼児期。椅子から飛び降りる、ソファの上で飛び跳ねる、その拍子に転んでおでこを打つのは日常茶飯事といっていいでしょう。 困るのは転倒したり、転落した拍子に床にあったもので切り傷などを作ること。怪我に通じる危険物がないか、いつもチェックしておきましょう。 ワンポイントアドバイス
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浴室 |
溺水、やけどが起こりやすい場所です。とくに浴槽が低いタイプでは、頭が大きくて重い幼児は覗き込んだ拍子に転落します。 浴室で起こるやけどの大半は、お風呂にお湯を入れているのを忘れて、熱湯になった湯船に子どもが転落するケースです。また、シャワーの取っ手に頭をぶつける、浴槽の中で足をすべらせるなど、ママやパパと一緒に入浴中の間に事故が起こることがあります。 ワンポイントアドバイス
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寝室・ベランダ |
1歳児では異物誤飲の事故が多いのです。ママのヘアピン、化粧品、薬、ボタン、コインなど、何でも誤飲の対象になります。とくにスモーカーのパパやママは、タバコを子どもが手の届くところに置かないように。目・耳・鼻などに異物が入ってしまう事故もあります。枕で遊んでいたら、中に入っているチューブを取り出して鼻に詰めてしまったということもあるので、注意しましょう。 また、窓やベランダからの転落はいちばん怖い事故です。ベランダの柵に頭をはさんで取れなくなることもあります。子どもをひとりでベランダに出さないように! ワンポイントアドバイス
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キッチン・ ダイニング |
やけど、切り傷などの事故が多い場所です。ガステーブルの上の鍋に手が届くと、やけどの原因に。とくに片手鍋は危険です。 子どもは生活道具を遊具に替える天才!流し台下の扉や引き出しを開けて、包丁で遊ぶことも。ガステーブルのスイッチを回せるようになると、火事やガスもれの危険も。 ワンポイントアドバイス
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トイレ・洗面所 |
浴室同様に水回りイコール水の事故が多い場所です。トイレの便器や洗濯機は、覗き込んだ拍子に頭から転落することも。口と鼻が水につかると、少量の水でも溺れます。 また、強酸・アルカリ性の洗剤類や消毒剤、また芳香剤など危険なものがたくさんあるので誤飲すると中毒につながります。 ワンポイントアドバイス
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屋外
場所 | 起こりやすい事故 |
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道路 |
つまづいて転ぶ事故が多発するのが道路。ひざ小僧をすりむく程度の小さな怪我はよくありますが、怖いのは交通事故。歩行中の事故のほかに、自転車に子どもを乗せていて起こる事故も多いので注意を。自転車の場合、子ども用の補助椅子から身を乗り出して転落することもあります。
ワンポイントアドバイス
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車の中・車の外 (駐車場) |
ぶつかる、ぶつけられる交通事故が怖いのはもちろんですが、子どもだけを車に置いて親が離れるのは絶対にいけません。暑い季節は熱中症が心配ですし、パワーウィンドウに首を挟まれる、ライターなどで火遊びをしていて火事になるなど思いがけない事故も起こります。 駐車場では車のそばにいる子どもをひいてしまう悲惨な事故も起こっています。 ワンポイントアドバイス
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公園 |
砂がついた手で目をこすって赤くなる、つまづいて転び、ひざ小僧をすりむくなど、小さな怪我は仕方ありません。防いでほしいのは、すべり台の上など、高所からの転落など大きな怪我に結びつく事故です。公園内の小さな池などに落ちて溺れる事故もあります。 でも、育ち盛りの子どもには、遊びにチャレンジする好奇心や冒険心が大切!何でも「危ない!」「ダメ!」では、心や体がたくましく育つチャンスを奪われてしまいます。危ないときはすぐに手を貸せるように、少し離れたところから見守りましょう。 ワンポイントアドバイス
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レジャー |
いちばん多いのがプール、海や川など水の事故で、着いた直後に起こりやすいものです。大人たちがバーベキューの用意をしている間に子どもたちだけで川べりに行って溺れたり、ママが水着に着替えている間にパパがちょっと目を離して波打ち際にいた子どもが波にさらわれたなど、ほとんどは親が目を離したほんの短い間に起こります。
ワンポイントアドバイス
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監修/みやのこどもクリニック院長
宮野孝一先生