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パパとママの夫婦関係と子どもの関係

2001.11.01

“育児をしない夫を父とは呼ばない”
との印象深いキャッチコピーを厚生省(現厚生労働省)が打ち出したのは'99年のこと。
育児を取り巻く家庭環境には変化があったのでしょうか?
国立精神・神経センター精神保健研究所、家族・地域研究室長の菅原ますみさんに子どもの発達心理学のお立場からお話を伺ってきました。

国立精神・神経センター
精神保健研究所
家族・地域研究室長 菅原ますみさん

パパも育児の
第一責任者です

グラフ1:子育てに対する肯定的意識「子育ては楽しみや生き甲斐」の日本・韓国・米国の比較

“母性神話”“三歳児神話”などの言葉を聞いたことのある方は多いと思います。日本では、昔から子育ては母親がひとりでやるのが当たり前という空気がありますね。

そんな中、キレる子どもの問題や幼児虐待の事件などがクローズアップされ、育児の責任にプレッシャーを感じるママたちも少なくないようです。

でも、例えば乳幼児の死亡率は世界で最低ですし、最近増えてきたとはいえ、日本の離婚率は欧米諸国と比較するとまだまだ低い方です。また、青少年の犯罪率も決して世界的に見れば高くはありません。日本の子育ては大きな意味ではうまくいっている面もたくさんあることにまず自信を持ってください。そして、プレッシャーを抱え込まないためには、やはりパパにも育児参加してもらうことが先決。パパに育児参加してもらうことは、ママにうれしいのはもちろん、子どもの成長にも大きな影響があるのです。

ママの育児ストレスを
もっとわかって

グラフ2:養育意識に関する父親と母親の比較

自分の子どもがかわいいと思うのは当然のこと。人間だけでなく動物たちの赤ちゃんはホントにかわいいですよね。それは一人では生きていけない赤ちゃんが、大人に守ってもらうために神様から与えられたものであり、防衛手段の一つなんだそうです。

グラフ2によると、そんな子ども達を愛しいと思う気持ちは、夫婦ともにほとんど差はありません。注目すべきは育児による制約感において、夫婦間の意識に大きな温度差があるということです。

夫婦にとって、赤ちゃんの出現はポジティブな感動とともに、ネガティブな影響も与えます。赤ちゃんは一人では生命を維持できません。24時間見守ってあげなければいけない責任を要求します。また、ママの愛情、努力、忍耐を理解して気を遣う、なんて高度なワザは持ち合わせません。一生懸命作った離乳食を食べない、どんなにあやしても泣きやまない夜もあります。「どうしてわかってくれないの? どうすればいいの?」と悲しくなります。

こうしたときには「子どもはかわいいけれど時にはかわいく思えない瞬間もある」といった複雑な気持ちになるものです。多くのママが抱いている、このネガティブな感情をパパにわかってほしいのです。

ママが求めているのは、
「ごくろうさま」という
パパからのねぎらいと、
“リフレッシュタイム”
なのです

図1:母親が感じる“子育てのつらさ”に関連が予測される諸要因

育児真っ最中のママたちに余裕がなくなっているのは、現在の社会的要因が大きく影響しています。

産業構造の大きな変化から、日本の子育ての形態は、村落共同体で地域ぐるみで行われてきたものから、いきなり核家族の中での母子密室型に変化しました。そこで、子育ての知識も技術もない新米ママが、親族や地域のサポートを得られないまま、さまざまなプレッシャーを抱え、思い悩んでいるのが今の時代の育児の象徴的姿です。

これにママ自身の個人的要因、ケア対象の子どもの要因(図1参照)が複雑に絡み合い、自由を奪われ、思い通りにいかない育児にストレスが増していきます。パパだって激務のなか、少しでも子どもといる時間を増やそう、できることは手伝おうと努めています。でも、パパの育児感覚は、子どもと一緒に遊ぶこと、ものを買い与えることに向かいがちです。

ママが求めているのは、リフレッシュするために必要なリラックスタイム。少しでもいいから育児から離れてひとりでほっとできる時間。そして、ついイライラしてしまっている自分に対する夫の思いやりなのです。
まずはママたちの現状によく目を向けてください。この育児感覚のギャップを理解し補い合うことで、ママたちの気持ちはグンと救われるのです。

パパの育児参加が
ラブラブ夫婦の秘訣

図2:妻→夫の愛情に関係する要因(母親の11年間の追跡データから)

図はパス解析の結果(N=286)。グラフ内の数値が大きいほどその関与性が高いことを示す。妊娠確認時の夫に対する信頼感から出産後6年目及び11年目の妻の夫に対する信頼感や愛情への関係は消失している。

出産前後で夫婦関係は大きく変動し、出産後の夫の妻に対するサポートがその後の妻の夫に対する愛情に影響することが示されている。

子どもが生まれたとたんに、ママは赤ちゃんに夢中でパパへの関心が薄れてしまったような不安にかられているパパも多いのではないでしょうか?

育児が大変なのは今だけの問題だろう、などとたかをくくるのは危険です。出産前に妻が夫に感じていた信頼感(愛情)の変化に関する要因を調査した結果、いわゆる社会通念的な要因(長時間就労、伝統的性役割感、学歴、収入、など)はほとんど影響がなく、1番の要因は乳幼児期までの夫の家事・育児への貢献度であることが浮き彫りになりました。

この時期、ママたちは人生最大のパニック状態に陥っています。この1番辛い時期に、その痛みを分かち合うことができたかどうかが、今後の夫婦関係のバランスに大きく影響を及ぼすのです。まさに“働き盛り”のパパたちにとって、育児の時間を作るのは難しいことでしょう。仕事上のストレスも溜まっているでしょう。ママだって無理は言えないことぐらいわかっています。だからこそ、夫婦でたくさん話し合うこと、お互いを理解し合い、互いを思いやる気持ちと行動が大切なのです。

ハッピーシニアライフを
目指して

グラフ3:夫婦間の愛情の推移

表1:結婚時の愛情を100としたら

グラフ4:結婚満足度の日米比較

グラフによると、結婚とともに妻への愛情を高め、さらにシニア世代になってもその愛情を保ち続ける夫に対し、妻は結婚6~14年目を境に夫への愛情が下降曲線をたどりはじめます。

この6~14年目とは、まさに、妊娠・出産を経て、子育ての真っ只中の時期。先に述べた夫の育児参加がないために薄れてしまった信頼感が、これからの夫婦生活に大きくそして長く影響するんですね。

近年とみに増え続ける熟年離婚は、妻から夫へ三行半を出すものが多いですが、その理由が、まさに今、育児真っ最中の夫婦関係に起因するというのが驚きです。

パパ、俺の気持ちは黙っていてもわかってもらえる、なんて明治生まれの男性のようなことを言っていては、明るい未来は迎えられませんよ!ハッピーシニアライフを目指して、できることから少しずつ育児参加をしてみては?

まずは仕事から帰ったら、「今日はご苦労サマ」とお互いがねぎらいの言葉をかけ、「今日はどんなことがあったの?」とパパはママに話しかける。そうした思いやりの会話から、パパはママがどんなことを手伝ってほしいのかを察していくことができます。

もっともっとお互いの悩みを話し合おう

「悩んでいるのは自分だけではない」「ストレスの原因は自分や夫にあるだけでなく、社会的背景が影響している」ことが理解できると、それだけでもずいぶんと気が楽になりますよね。

パパたちにとっては、夫婦の愛情の推移グラフなど、ショッキングなデータもありましたが、これはママになった多くの女性が普通に感じている現状、ごく当たり前なことと理解していただきたいと思います。

そして「育児が毎日楽しいわ」と感じている幸せなママたちは、その気持ちが全てのママに当てはまる当然の感情と思いこまずに、周りの思い悩むママたちの声に耳を傾けてください。夫婦が、そして周囲が理解をすることで、救われるママはたくさんいるはずです。

今回のレポートは、発達心理学者である菅原先生が、長年の研究を通して統計学的見地にたって、今の日本の育児環境の実態を、夫婦を切り口に、分析した姿です。いろいろな意見もあると思いますが、今回のレポートを参考にしていただき、子育てについて、夫婦で議論する話題のひとつにしていただければ幸いです。

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育児にプレッシャーやストレスをかかえるママも少なくないようです。そんな時はパパにも育児に参加してもらうことが大切!パパに育児参加してもらうことはママにうれしいのはもちろん、子どもの成長にも大きな影響があるのです。出産・育児のサポートサイト「ベビータウン」