おむつケーキって知っていますか?名前の通り、「おむつをケーキ型にデコレーションしたもの」のこと。最近、出産祝いで贈ることが増えてきていますが、発祥は妊娠中の妊婦さんを元気づけるために開くベビーシャワーというパーティーで贈るものです。2人目、3人目の妊娠時に子連れでやるのも盛り上がります。おむつケーキの由来や作り方について、ベビーシャワーの日本の第一人者である冨田みどりさんにうかがいました。
取材協力
冨田みどりさん
一般社団法人ベビーシャワージャパン代表理事
ロスアンゼルス在住時に2人目を妊娠し、そこで体験したベビーシャワーに感動。日本でもベビーシャワー文化でマタニティライフを豊かにするために活動中。
ベビーシャワージャパン
目次
おむつケーキとは?
Q:おむつケーキとはどんなものですか?

おむつケーキはおむつを使ってケーキのように飾り付けたもので、妊婦さんをお祝いするベビーシャワーという行事に欠かせないアイテムです。パーティーを盛り上げる存在感ある演出として使われます。出産後にはもちろんおむつとして使えますし、体重管理をしていて甘いものを控えている妊婦さんにも喜ばれます。
Q:ベビーシャワーはいつ頃、どんなふうに行うのですか?

妊娠後期の出産準備用品をそろえ始める頃に行います。主催者はお友だちやご主人、会社の同僚などさまざま。アメリカでは本人主催が一般的です。
日本では一般的に出産祝いは産後ですが、アメリカでは生まれる前、ベビーシャワーに「妊婦さんの欲しいもの」を贈るのが一般的です。
日本ではプレゼントが重なって使えなかった、などよく耳にしますので、欲しいものをもらえるのは嬉しいですね!
またベビーシャワーでは何をするという決まりはありませんが、妊婦さんの安産を参加者で祈願し、励ますことが目的なので、赤ちゃんや育児に関連したゲームなどをして皆で楽しむのもよいでしょう。そして簡単に飾り付けをするとより雰囲気を盛り上げられます。
ベビーシャワーの飾り付けのマストアイテムが「おむつケーキ」です。
Q:おむつケーキは既成品ですか?

ネットでも様々なおむつケーキが販売されていますし、百貨店などでも購入できますが、手作りで作るのも楽しいと思います。
お手製のオリジナルのおむつケーキは心のこもった贈り物になりますね。
ベビーシャワーをやらなくても、出産祝いやハーフバースデーに贈るのもいいですね!必ず使うものなのでどんなシーンにでも誰にでも喜ばれます。
Q:おむつケーキに男の子用、女の子用の区別はありますか?

一般的に、ブルー系は男の子、ピンク系は女の子というイメージが強いようで、私のネットショップでもブルー系、ピンク系はよく売れますね。
ベビーシャワーの飾り付けには、「ピンク」や「ブルー」のテーマカラーがあるとコーディネートをまとめやすいというのもあるでしょう。
おむつは赤ちゃんが使うものですが、ベビーシャワーに飾るおむつケーキは「ママにエールを贈る」アイテムでもありますからママの好みの色で選ぶのもよいと思います。
※写真提供:ラクーシュ
簡単にできる!おむつケーキの作り方
用意するもの
自分で作るおむつケーキの作り方をご紹介します。材料は、身近で手に入るものばかり。おむつ以外は100均で売っているものでも十分です。
- おむつ(テープタイプが作りやすい)…Mサイズで1段なら10枚前後、2段の場合、上段の倍の枚数で下段を作るので、上段が8枚なら下段に16枚、合計24枚程度が一般的な大きさの目安。※写真はナチュラルムーニーMサイズを使っています。出産祝いで贈るときの新生児用サイズの場合は枚数を多めに、2段で35枚くらい。
- ヘアバンド
- 土台用のリボン(ビニール紐などでもよい)
- デコレーション用のリボン(男の子用はブルー、女の子用はピンクなど)
- 割り箸(2段にする場合のみ)
- 造花
- はさみ
おむつケーキを作る手順
①おむつを4枚揃える
まずは土台を作ります。4枚のおむつを横にして持ちます。
少しずつずらして重ねて持ちます。
②おむつをヘアバンドの中に入れる
ヘアバンドは、おむつを丸いケーキの形にしていく枠として使います(後ではずすので、普段使っているヘアバンドでOK)。①で重ねたおむつを手前にして、ヘアバンドの中に入れます。
ずらした状態のままヘアバンドの中に入れます。
③残りのおむつを少しずつ入れていく
残りのおむつも、最初のおむつと同じ向きで少しずつ、等間隔でずらしながらヘアバンドの中に入れていきます。
最終的に円になることをイメージしながら入れていくとうまくいきます。
④真ん中に穴があくように形を整える
外側がおむつの折り目(股側の方)、内側がおむつのお腹の部分(ウエストギャザーがある方)になるように、1枚おむつを残して、1段分のおむつを入れていきます。それぞれのおむつの間隔が均等になるように丁寧に入れ、中心に穴ができるように成型していきます。
おむつの間隔を均一にすると、ひだひだのクリームを塗ったケーキのようにきれいに見えます。
中心に穴ができるように形を整えて。
おむつを入れ終わった様子。上から見てこんな形にできたら成功!
⑤芯となるおむつを差し込む
先ほど残した1枚のおむつを、くるくると巻いてて棒状にします。これが芯となります。芯を土台に作った中心の空洞部分に差し込みます。
1枚のおむつを丸めて芯にします。
巻いたおむつをタテに土台の中心に入れます。
上から見てバラの花のようになったら、土台の完成です。
⑥土台用のリボンで土台を固定
まず、土台用のリボンを巻いて、土台をしっかり固定します。リボンを巻いたら、ヘアバンドははずします。
ヘアバンドを巻いていた位置に土台用のリボンを巻いて、ヘアバンドをはずします。
⑦デコレーション用のリボンを巻く
土台用のリボンの上から,デコレーション用のリボンを巻きます。リボン結びで可愛らしくしたり、リボンを両面テープで留めるなどしてもよい。
キレイにリボン結びにします。これだけでも十分可愛い!
⑧2段にするときは割り箸を使って固定
1段でも可愛いおむつケーキになりますが、ゴージャスに2段ケーキにするときは、①〜⑦の工程を繰り返して、大きさ違いのものをもうひとつ作ります。そして、大きい方(下段にする方)に割り箸を2本立てて、小さい方(上段にする方)のケーキをその上から挿して固定します。
下段のおむつケーキに割り箸を立てて、その上から上段のケーキを挿して固定。するとこんな2段ケーキに!
⑨お花を飾って完成!
お好みの造花やプレートをおむつのすき間に挿してデコレーションします。初めてでも30分くらいでできちゃいます!見本は男の子用をイメージしましたが、女の子用にはリボンをピンクにしたり、お花の代わりおもちゃなどを飾っても可愛いですね。
リボンや造花を変えて季節や自分の好みでアレンジできます。
おむつケーキの応用方法は?
おむつにメッセージを入れても

おむつケーキに使うおむつに、あらかじめ贈る人々からのメッセージを入れておくのも素敵です。贈ったときには見えませんが、贈られた人が出産後におむつを使うときに初めて見て、みんなからのメッセージがサプライズになるかもしれません。育児が始まって大変なとき、忘れた頃に仲間からの温かい励ましの言葉があると、きっと育児をがんばろうという気持ちになれると思います。
贈り主からのメッセージが、出産後の励ましにも!
※写真提供:ラクーシュ
2人目、3人目の妊娠中だとなおさら喜ばれる!

1人目の妊娠は、初めてのことだらけで不安が多く、仲間や先輩ママたちからベビーシャワーをやってもらうことで、出産や育児への不安解消にもつながります。実はもっと大変なのが2人目・3人目を妊娠中のママたちです。1人目は精神的な不安が多いですが、時間的にはまだ余裕があります。でもすでに子育てしながら妊娠しているママは、子育てのしんどさと、つわりや妊娠中の体調不良など、肉体的なしんどさも重なって逃げ場がないのです。生活も赤ちゃん中心で自分が主役になることがほとんどなくなっています。そんなときに、仲間がベビーシャワーで自分を主賓としてお祝いしてくれて、可愛いおむつケーキを贈ってくれたらどれほどうれしいでしょう。実は私自身も、初めてアメリカでベビーシャワーをやってもらったのは2人目の妊娠中で、涙が出るほどうれしかったです。
おむつケーキを安産祈願のアイテムに!

よく職場などで、産休に入る人に花束を贈ったりしますよね。『元気な赤ちゃんを産んでまた戻ってきて!』というメッセージだと思います。花束もうれしいですが、それがおむつケーキだったら実用的でなおうれしいですよね。少子化の時代、子どもを産む人はもっと大事にされていいはずです。おむつケーキが、周りの人から妊婦さんの安産を祈願するアイテムのひとつとして定着できたらいいなと願っています。
子どものハーフバースデーなどにも

おむつケーキを使うシーンに決まりはないので、妊婦さんや産婦さんへのお祝いだけでなく、ママ自身が赤ちゃんのために作っておうちに飾っても楽しいと思います。実際に、まだケーキが食べられない時期のハーフバスデーにおむつケーキを作る人もいらっしゃいます。その際はそのときの赤ちゃんが使っているサイズや、パンツタイプのおむつで作るとよいでしょう。
おむつケーキは可愛いだけでなく、妊婦さんの体調を思い、みんなで無事の出産を祈る心のこもった贈り物。妊娠中の体調や出産が大変なのは2人目や3人目も同じことなので,次の妊娠のときにやってもらえたらうれしいですね。おしゃれな既成品を贈るのも手軽ですし、おむつにメッセージを書いた自作のおむつケーキも素敵。贈るのももらうのもうれしくなるおむつケーキ。まずは先輩ママとして、まわりの妊婦さんにベビーシャワーでお祝いしてあげることから始めてみてはどうでしょう?